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インプラントの手術をした歯の周りの歯茎が腫れ、出血するようになってしまいました。また、口臭も気になるようになってきました。5年も前に手術を行ったので、失敗??とは思うのですが、どうしたらよいでしょうか。
歯が欠損した場合の第一選択として市民権を得てきたインプラントですが、長期間使っていくと多少のトラブルが起きることもあります。さまざまなトラブルの中でよくあるのは「出血」です。
原因は歯肉の炎症。天然歯でも歯肉から出血することがありますが、それは炎症を起こしているから。インプラントでも天然歯でも原因は一緒です。
健康に引き締まった歯肉であれば歯ブラシや食事くらいで簡単に出血することはありません。インプラントも同じく、インプラントを支えている骨や周りの歯肉に問題がなければ出血はしない。しかし、何らかの炎症があれば、やはり出血してくるのです。
主に歯肉にのみ炎症が発生しているケースを「インプラント周囲粘膜炎」と言います。原因は、天然歯の場合の歯周炎と同じく、汚れが溜まってしまい感染症を引き起こしています。汚れを除去しクリーニングすれば健康な歯肉に戻ります。
しかしながら、いつもきれいにケアしているのに…という方もいるでしょう。その場合、歯の形やかみ合わせによって、汚れが溜まりやすくなっていることも考えられますので、溜まりにくい形態に修正する必要があるかもしれません。
このように患者様のケア以外に原因があるケースもありますので、毎日のセルフケアだけでなく、定期的なプロフェッショナルケアは必須です。天然歯以上にかかりつけの担当歯科衛生士のチェックが大切。
「インプラント周囲粘膜炎」は早期に対応すれば元に戻ります。出血したらすぐに医師に相談してください。
炎症が歯肉だけでなく、歯槽骨まで達し骨吸収を起こしている場合もあります。これは先ほどの粘膜炎ではなく「インプラント周囲炎」といいます。冒頭の相談は、実はこのケースでした。
天然歯も加齢と共に骨吸収を起こしますので、インプラントだけと言うことはありません。しかし、インプラントの場合は天然歯よりも進行が早いので注意が必要なのです。
インプラント周囲炎に対しては、さまざまな保存的な処置を行った後、外科的にリカバリー手術を行いますが、歯槽骨が半分以上痩せてしまった重篤な場合、回復は難しいかもしれません。状況によっては、手術のやり直しになることもあります。
前述した通り、粘膜炎であれば汚れを除去しクリーニングを行うというケアで比較的すぐに回復します。汚れが溜まりやすい場合は、清掃しやすい形態へ調整もします。
インプラント周囲炎の場合。こちらは状況によっては外科的なリカバリーややり直しが必要なケースも。
ちなみに、冒頭の患者様のケースは5年程前に他院で埋入したインプラントの周囲から「出血する」「臭いが気になる」という主訴で来院されました。かみ合わせのバランスが悪いことが要因の一つかもしれませんが、インプラント体の歯槽骨が半分以上失われている状態でした。
周囲の組織が余計に傷つかないように慎重にインプラントを撤去し、組織の回復待って処置します。骨造成なども必要になってきます。
かみ合わせの悪さも大きな要因ですので、歯列矯正を行ってかみ合わせのバランスを整えることも必要かもしれませんね。
セルフケアとかかりつけ医による定期的なプロフェッショナルケアの双方を必ず行うようにしましょう。インプラントだけでなく、天然歯でも同じことですが、万全なケアがお口の健康を守るカギなのです。
とはいえ、ケアに気をつけていようがいまいが出血するケースは少なからずあります。
インプラントに限らず、歯肉からの出血は、お口の危険信号。
歯磨きや食事で出血したら、できるだけ早く医師にご相談されることをおすすめします。
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