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インプラント治療において重要となるのが、顎骨の状態です。骨の量が足りないとインプラント体を埋入しても骨との強固な結合(オッセオインテグレーション)ができず、治療が失敗するケースがあります。
少しの骨量不足であれば、骨量が不足している患者さんでも「骨造成法」によって骨の量を増やすことができるようになっていますが、大きく不足している場合には自分の骨を移植する「自家骨移植」を検討するケースも。
しかし、この方法は全身麻酔下でおこなうため、患者さんの負担が大きく適応する症例も限られています。そこで、注目されているのが「幹細胞を用いた骨再生」です。
幹細胞とは人間の身体のなかで、どのようなものにもなれる細胞のことです。専門的にいえば「自己複製能と多分化能を保有する細胞」となります。人間は受精卵から細胞分裂を繰り返して胎内でさまざまな臓器や器官を形成していきます。そして、産まれてからもそれぞれの細胞が分化と増殖を続けています。
例えば、骨折してしまった場合に骨が再生して接合しますが、この役割を担っているのが幹細胞です。骨だけではなく皮膚や神経、筋肉や内臓など、どのようなものにも変化できる性質を持っている細胞となっています。
近年、ノーベル賞受賞で注目されている「IPS細胞」も幹細胞のひとつです。そのほかには「胚性幹細胞(ES細胞)」や「成体幹細胞」などが、幹細胞となります。
幹細胞は前述のようにインプラント治療への応用も始まっています。骨量の足りない患者さんのために、幹細胞から骨を造り、インプラント治療を実施するという方法です。
基本的な治療の流れとしては、骨髄液を採取して培養(約1ヶ月間)、「培養骨」を骨量の不足している部位に移植して半年程度骨が増殖するのを待って、インプラント手術をおこないます。
培養して得られる「培養骨」は、いわゆる「骨」の状態ではなく、骨に分化する「骨芽細胞(こつがさいぼう)」となり、移植された部位で骨量を増加させていくのです。
この方法によって、従来の骨造成法よりも短期間で骨の状態が改善すると考えられ、自家骨移植の身体的負担も解消されると考えられています。また、従来では下顎の骨再生は難しいとされていましたが、幹細胞による再生を用いれば、治療が可能になると期待されています。
しかし、「幹細胞を用いた骨再生治療」は、どこの歯科医院でも受けられるわけではありません。培養をおこなう医療施設は厚生労働省の許可が必要で、厳密な審査があります。
現在では培養する施設も限られているため、提携している歯科医院も少数なのが現状です。受診を希望される場合には、十分なリサーチをおこなってください。