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インプラントにおけるサイナスリフトについて、概略や適用症例、メリット・デメリット等を解説します。
サイナスリフトとは、上顎の奥歯にインプラントを埋入する際、骨の厚みを補ってからインプラント治療を行う術式のこと。別のページで紹介しているソケットリフトと目的は同じですが、ソケットリフトの適用症例以上に骨の厚みが不足している場合、サイナスリフトの適用が検討されます。
上顎の側面を切開したのち、骨に穴を開けて上顎洞との間の粘膜(シュナイダー膜)まで到達させます。粘膜を破らないよう、目視しながら骨移植材を少しずつ注入していきます。骨の造成には、通常1年程度の期間を要するため、患者は骨が造成された後、改めてインプラントの手術を受ける必要があります(症例によっては、サイナスリフトと同時にインプラントを埋入できる場合があります)。
上顎の奥歯にインプラントを埋入する際、骨の厚みが不足してインプラント体を固定させることができない場合があります。十分な骨の厚みがない状態で無理にインプラントを行うと、骨の上にある上顎洞と呼ばれる空洞にインプラントが貫通してしまい、感染症を誘発するなどして危険な状態になります。
サイナスリフトは、上顎の奥歯の骨が概ね5mm以下の場合に検討される治療法です。
サイナスリフトのメリット・デメリットは以下の通りです。
上顎の奥歯の骨が薄いため、そのままではインプラントが受けられない方でも、サイナスリフトを受けることによりインプラントが可能になります。別のページでご紹介しているソケットリフトの適用症例よりも骨が薄い方でも、サイナスリフトを受けることによりインプラントが可能となります。
比較的多くの骨移植材が必要となり、かつ高度な技術力を要する治療法なので、材料費や技術料が加算されて治療費が高額となる場合があります。また、サイナスリフトを受けた後に骨が造成されるまで数ヶ月~1年程度の期間を要することが多いため、すぐにインプラントを受けることはできません。加えて、ソケットリフトに比べると腫れやすく、痛みも出やすい点もデメリットになります。
実際にサイナスリフトに失敗した事例を元に、どのような失敗が起き、どのように対処したのかをご紹介します。
サイナスリフトと同時にインプラントを埋入してもらいました。治療当初は問題がなかったのですが、5日目くらいから痛みが生じ、膿も出始めました。すぐに主治医に診てもらったのですが、「サイナスリフトによる一時的な炎症」との診断。経過観察をするとの回答で、クリニックを後にしました。
その一週間後に診察をしてもらったところ、経過は順調とのことだったので、一部抜糸。ところがその日の夜、埋入した白い人工骨がボロボロと落ちてきてしまい、しかもインプラントが根元から抜けてしまいました…。膿も大量に出ました。「私が受けたサイナスリフトは、失敗だったのだろうか…」と、成すすべもなく、不安なまま一夜を過ごしました。
外れたインプラントを持ち、改めてクリニックを訪問。先生に診てもらった結果、サイナスリフトに使った大量の人工骨が感染を起こした恐れがある、とのことでした。
結果、人工骨がしっかりと固まってから、改めてインプラントを埋入するということに。担当医師もしっかりと事情を説明し、「申し訳ない」と丁寧に謝ってくださったので、信頼を失うといったことはありませんでした。
今回サイナスリフトを受けたこのクリニックに決めるまでに、私は別のクリニックや大学病院でもカウンセリングを受けました。
技術力といった部分も気にはかけていましたが、信頼が置ける医師といった観点でクリニックを選びました。
治療としては失敗の部類であったかもしれませんが、それでも、最後まで私に誠実に対応しようとする先生の姿勢を見て、このクリニックを選んで良かったと思っています。技術力も大事ですが、それと併せて、私は先生の人柄もクリニック選びの大事な基準だと思います。