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日本人は欧米人に比べて歯肉が薄い傾向にあり、歯茎が痩せたり下がったりしやすいと考えられています。特に歯の治療でかぶせ物を使う場合は、天然の歯の削った部分とかぶせ物の境目に段差ができるので、治療が終わって数年後に歯茎が下がっていくことが多く見られます。
インプラント治療にもかぶせ物が用いられるため、治療後にも同じような現象が起こることがあります。
インプラント治療を受けて歯茎が多少痩せることはあっても、大きく後退するようなことはあまりありません。埋入直後に大きく後退したのであれば、すでに骨が低くなっていた部位に埋入した可能性が高いと思われます。
ただし、抜歯してすぐにインプラントを埋入する方法(抜歯即時埋入)では、手術後の組織がどんな反応を示すか正確な予測を立てるのは困難です。特殊な処置を行なわない限り組織は減少していくので、歯茎がひどく痩せてしまうのは生体の反応として起こり得ることです。
口腔内の状態も個人差があるため、確実な予測をすることは難しいです。インプラント治療の経験が多い歯科医師であれば、長期的な経過を考慮して適した位置に埋入してくれるため、経験や実績を積んだ歯科医師を選ぶことが重要になります。
骨が不足している場合には、インプラントを埋入する前に骨を造成することもできます。抜歯即時埋入でも、骨が足りなければ骨を造成する処置を同時に行なうのが一般的です。
インプラント周囲炎は「インプラントの歯周病」とも呼ばれるように、インプラントを埋入した部分の歯茎周辺が炎症を起こしている状態を指します。これは、ブラッシングなどで除去しきれなかった細菌の感染が原因だと考えられており、痛みや腫れ、歯茎が痩せるなどの症状がみられます。
一般的な歯周病と原因も症状もまったく同じですが、大きく違うのは感染に気づきにくいこと、そして進行のスピードです。
毎日丁寧にブラッシングしていても、インプラント周囲炎を起こす人は多くいます。
インプラントは天然の歯と違い、周辺の歯茎は血流が悪くなります。したがって細菌への抵抗力も弱くなるため、インプラント周囲炎が悪化しやすくなるのです。
インプラント歯周炎は、初期の段階では炎症に気づかないことも多く、ようやく気づいたときには症状がかなり進行していることも珍しくありません。
また、前述のようにインプラントの周辺は血流が悪くなりますから、歯茎が張りを失いがちです。そのせいで歯茎が下がってしまうこともあります。これらもインプラント治療後に歯茎が痩せるといわれている大きな原因のひとつです。
インプラント周囲炎にかかると、どれだけ治療を施してもインプラントを残せない場合もあります。現在のところ、インプラント周囲炎は確固たる治療法が存在しないからです。
原因も症状も歯周病と同じなら、同じ治療法で治せると思えるかもしれません。確かにインプラント周囲炎の治療は、インプラントに付着したプラークや歯石を徹底的に取り除いていくことから始めるので、一般的な歯周病の治療と変わりません。しかし、インプラントの表面は骨と結合しやすくするための特殊な処理が施されており、そこに付着したプラークを完全に取り除くのは難しいとされます。
インプラント周囲炎の治療が非常に難しいのは、こうした理由からです。最悪の場合は、手術でインプラントを撤去しなければなりません。歯茎の痩せの原因がインプラント周囲炎であれば、その回復は困難だと言わざるを得ないのが実情です。
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実績豊富な歯科医師が回答するFAQ
インプラント周囲炎のリスクは、歯茎の痩せだけではありません。残っている周囲の歯にも悪影響を及ぼす可能性があります。
まず、歯周病菌が血管に侵入するとそれが全身をめぐり、糖尿病や心臓病などの全身疾患を悪化させる恐れが出てきます。また、インプラント周囲炎によってインプラントが抜け落ちてしまったら、隣り合う歯が開いたすき間を埋めようとして動くので、歯並びが崩れてしまうことにもつながります。
歯茎の痩せの原因は、インプラント治療そのものよりもインプラント周囲炎のほうが重大ということがおわかりいただけたと思います。
特にこわいのは、歯周病が完治していないのにインプラント治療を行なってしまうことです。そうすると、かなり高い確率でインプラント周囲炎を起こすでしょう。歯周病で失った歯を取り戻すために入れたインプラントを、今度はインプラント周囲炎で失うということにもなりかねません。
こうした事態を避けるために、まずは歯科医師にしっかりと診察してもらうことです。その際には歯周病治療に精通しており、インプラント治療にも高い実績を持っている歯科医師を探すことが重要です。