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全欠損の歯でも対応可能なインプラント、オールオン4。ここでは、オールオン4の概要や問題点等について解説しています。
オールオン4とは、たくさんの歯を一度に回復させたい方に有効な、いわばインプラントの応用的治療法。極端な例を挙げれば、歯が28本すべて欠損している人でも、たった1日の治療で立派な歯を取り戻すことができる画期的な治療です。
仮に28本すべての歯が欠損している場合、すべての歯にインプラントを埋入することは、骨への負担や費用的なことを考えると、あまり現実的ではありません。
そこでオールオン4は、上下に合計4本のインプラントを埋入し、この4本を柱としてブリッジや入れ歯を入れます。これにより、骨への負担や経済的負担を現実的な範囲に収める、というのがオールオン4の治療趣旨です。
4本のインプラントを埋入できるほどの骨が残っていない症例でも、頬の骨を利用することにより、骨移植をせずにオールオン4を受けることができます。
オールオン4は、多くの歯が欠損している人でも問題なく噛める歯に回復させられる点が大きな特徴。しかし、それ以上に大きな特徴とも言えるのが、「手術の当日中に噛めるようになる」という即効性です。
通常のインプラントの場合、インプラント体を埋入したのち、インプラント体と骨とがしっかりと結合したことを確認してから上部構造を装着します。インプラント体と骨との結合にかかる期間は、上アゴで約5か月、下アゴで約3ヶ月。かなり長い期間を待たなければ、治療は完了しません。
それに対し、オールオン4は手術の当日にすべて治療が完了。午前中に手術を終え、患者が休んでいる間に人工歯を製作すれば、夕方には歯を装着して治療が終了です。治療が終われば、問題なく食べ物を噛むことができます。何年ぶりかに生まれ変わった歯で、当日の夕食から楽しむことができるでしょう。
オールオン4は、ともすると一般的なインプラントよりも寿命が短い印象もありますが、実際にはそんなことはありません。一般的なインプラントと同様の寿命と考えてください。
一般的なインプラントの場合、10年後の残存率は約90%。オールオン4も、同じ程度の実績と考えて良いでしょう。
90%という残存率(=成功率)は、歯科を問わず、医療全般において高い成功率と言えます。ただし逆に言えば、残りの約10%の患者においては、10年後にインプラントを失っていることにもなります。
世界で初めてインプラントが行われたと言われているのが1965年。その時に治療を受けた患者は、自身が亡くなるまでの40年間、インプラントが抜け落ちることがありませんでした。恐らく患者は、医師から指導されたメンテナンスを徹底して守っていたのでしょう。
参照元:公益社団法人日本口腔インプラント学会(https://www.shika-implant.org/qa.html)
実際に現在でも、30年前や40年前に受けたインプラントが、まったく不具合なく機能している患者は大勢います。その一方で、治療からわずか数年でインプラントが抜けてしまった患者もいます。
インプラントの命運を分けているのは、他でもない、術後のセルフメンテナンスです。歯科医師から言われたセルフメンテナンスを確実に行っていれば、手術から30年、40年と経っても、不具合なくインプラントは機能し続けることでしょう。
オールオン4を少しでも長持ちさせるためには、第一に、毎日正しいセルフメンテナンスを行うことが大事。第二に、歯科クリニックの定期検診を受けて、プロの目で異常をチェックしてもらうことが大事です。
定期検診で行われる項目は、インプラントの状態のチェックや、ブラッシング指導、噛み合わせチェック、歯石除去、レントゲンチェックなど。異常が見つかった場合には速やかに処置が行われるため、セルフメンテナンスと定期検診を徹底することで、インプラントに致命的なダメージを残す可能性が低くなるでしょう。
「当日中に噛める」というのがオールオン4の大きな特徴ですが、これに対して歯科医師の中からは、やや疑問を呈する声が出ていることも否めません。
そもそも人間の体には生体反応があります。果たして治療の当日から普通通りに噛むことが適切かどうか、という疑問は、一部の歯科医師から提言されている問題点でもあります。
たとえオールオン4であったとしても、通常のインプラントと同様に、骨との結合を確認してから被せものを付けるほうがリスクが低いことは、言うまでもありません。
歯科医師の世界には「バック・トゥー・ザ・ベイシック」という言葉があります。リスクの可能性がある治療を行う場合、果敢にリスクに立ち向かうのではなく、基本に立ち戻ろうという考え方です。
確かにオールオン4は画期的な歯科技術ですが、人間の生体反応というベーシックな部分に目を向けた場合、無理に治療を急ぐ必要はないではないでしょうか?オールオン4を検討する方は、歯科医師とよく相談のうえ、安全性と確実性を優先した結論を導きだすべきでしょう。