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大人の歯は、親知らずを除くと上下で合計28本あります。もっとも理想的なバランスのとれた歯とは、これら28本がうまく噛み合っている状態です。
しかしながら、中には顎のサイズが小さいなどの理由で、必ずしも28本の歯が必須ではないケースも。ここでは、歯の本数と上下の噛み合わせのバランスについて詳しくまとめています。
インプラント治療を検討する方は何かしらの理由により、歯が欠損してしまっているケースが往々にしてあります。
歯が欠損することで残った歯への負担が大きくなり、他の歯も欠けてしまったり動いてしまったりなど、さまざまな不具合を招くことに。
歯の欠損に関して、歯科治療の世界ではテーブルの脚の例がよく引き合いに出されます。
100kgの天板を4本の脚で支えているテーブルがあったとします。この際、1本の脚にかかる重量は25kg。脚が3本に減ると、1本の脚にかかる重量は約33kgに増大します。
歯の欠損は、このテーブルの例と同じです。歯が一部欠損していると、残された1本1本の歯への負荷が増大。荷重が蓄積した結果、歯が欠けてしまうなど、さまざまな不具合が生じてしまうことがあります。
それぞれの歯の負荷を軽減させるためには、やはり28本すべての歯が存在していることが、理論的には理想。しかしながら現代においては、かならずしも28本すべての歯が必須ではない人も増えてきました。
江戸時代と現代の歯の事情を比較し、現代人にとっての健康的な歯について考察してみましょう。
江戸時代の人たちの中には、親知らず(第3小臼歯)がきちんと生え、かつ上下で噛み合わせがしっかりとしていた方が多かったと言われています。
一方、現代人の多くは、親知らずが中途半端に生えていたり、歯茎の中に埋まったままであったりなど、その存在はまるで邪魔者扱い。虫歯の原因にもなりかねないため、抜いてしまうケースがほとんどです。
なぜこのような差が生まれてしまったのか。その理由は、現代人の食生活において、親知らずが不要になってしまったからです。
現代に比べると、江戸時代の食べ物は硬いものが多く、食べ物をよく噛むために、江戸時代の人は親知らずが発達していたと言われています。上下4本の親知らずは、江戸時代の食文化において必要な存在だった、ということです。
現代になると、西洋文化の影響もあり、噛む力がさほど要らないやわらかい食べ物が中心に。硬い食べ物を奥歯ですり潰す必要性が、江戸時代に比べると少なくなってきたのです。その結果、親知らずの役割も徐々に低下。徐々に顔を引っ込めていった、という経緯です。
さらに、強い力で噛む頻度も少なくなってきたことから、現代人の顎は小さくなっている傾向にあります。
顎が小さくなったにも関わらず、親知らずを除いた歯は常に28本。徐々に狭くなっていくベンチの上に、28人がギュウギュウに詰まって座っている状態です。
中には、28人全員がベンチに収まり切れず、はみ出したり重なったりすることもあるでしょう。この状態が歯列不正であると言えるのです。顎のサイズに対して歯の本数が多すぎる、ということでもあります。
もちろん、28本の歯がすべて生えそろい、なおかつ、それぞれの歯で正しく噛み合わせが行われていることが理想です。しかしながら中には、顎が小さすぎて、かならずしも28本すべての歯が必須とは言えない人もいます。結果として歯列不正を起こし、噛み合わせに不都合が生じている人も少なくありません。
そのような人においては、無理に28本の歯を残すことよりも、噛み合わせの不都合を解消することのほうが、メリットが大きいと言えます。これこそ、歯列矯正において抜歯を行う理由のひとつとなっています。
インプラント治療においても、無理に28本すべて作らなくてもよいといえます。歯の健康を維持するためには、歯の本数を無理に維持することよりも、上下の歯の噛み合わせのバランスを良好にするほうが大事。現代の歯科治療の世界には、そのような発想があることも患者は念頭に置いておきましょう。