このサイトは 「KU歯科クリニック」をスポンサーとして、Zenken株式会社が運営しています。
インプラントには寿命があると言われています。ただし、日ごろのメンテナンスをしっかりと行っていれば、インプラントは一生ものという見解もあります。万が一、インプラントに寿命が来たら、どのように対処すれば良いのでしょう?インプラントの寿命に関して詳しくまとめました。
歯は、メンテナンスをしっかりと行わない限り、かならず寿命が訪れます。天然歯はもちろん、インプラントでもこの点は同じです。
では、しっかりとメンテナンスを行ったならば、インプラントの寿命は永遠なのでしょうか?
インプラントの寿命とは、一般的に顎骨に埋入されているインプラント体が脱落することです。インプラント体自体は、チタン、あるいはチタン合金製ですから、錆びて劣化することはありません。人体側の原因によって脱落することがほとんどです。
歯科インプラントは、基本的に3つのパーツで構成されています。顎骨に埋入されている「インプラント体」、人工歯とのつなぎである「アバットメント」、そして人工歯である「上部構造」です。
アバットメントや上部構造は露出していますので、破損をすればすぐに分かります。しかし、この部分が破損したとしてもインプラントの寿命とはいいません。なぜなら、比較的容易に修復ができるからです。
一方、インプラント体が顎骨と結合しなくなり、脱落してしまえば、再びインプラント埋入手術が必要になります。この場合はインプラントの寿命と認識してよいでしょう。
では、インプラントが脱落してしまう原因とはどのようなものでしょうか。主な原因は「インプラント周囲炎」といわれています。これは天然歯の歯周病と同様に細菌によって、炎症が起こり歯肉から歯槽骨へと広がってしまう症状です。
細菌によって骨が破壊されてインプラント体の脱落につながります。インプラント周囲炎は、天然歯の歯周病よりも進行が早いといわれています。インプラントは人工歯根ですから、もちろん血管などがないため、生体防御ができないためです。
予防をするためには、常に口腔内の清潔に気を使うことが大切です。 その他の原因としては、「プラキシズム」と呼ばれる、歯ぎしりやくいしばりなどの癖があります。歯ぎしりは睡眠時プラキシズムで、覚醒時の食いしばりは「クレンチング」とも呼ばれ、天然歯を失う原因にもなりえます。
しかし、プラキシズムの原因は多様であり、治療も複雑です。インプラントの場合には、対症療法として、マウスピースを装着することが多くあります。
また、口腔内の問題だけではなく、全身の健康状態もインプラントの寿命に関係があります。例えば、喫煙習慣のある人は、動脈硬化や免疫力が低下して、インプラント周囲炎を起こしやすいといわれています。糖尿病で血糖値管理が適正でない場合にも同様です。
厚生労働省が公表している「歯科インプラント治療のためのQ&A」では、インプラントの寿命を適切に回答することは困難、と結論づけています。参考として、治療後10~15年の寿命が、上顎の場合は90%程度、下顎の場合は94%という学会報告も紹介しています。[注1]
一方、専門家における一般的な見解としては、インプラントの寿命は30年とも40年とも言われています。
なぜ、インプラントの寿命に関する確定的・統一的な見解が存在しないのでしょう?その理由の一つは、少なくとも日本においては、インプラントが始まってから歴史が浅いから、ということでしょう。
日本において安全性の高い本格的なインプラントが導入されたのは、1983年のことです。当時はまだ患者自体の数が少なかった時代。多くの日本人が手軽にインプラントを受けられる環境になってから、まだ日が浅いと言わざるを得ません。よって、インプラントの寿命が何年程度なのかは、もっと先にならないと分からないことでしょう。
仮にインプラントの寿命が訪れたという患者が大勢いた場合、メディアを通じて、患者からその旨の声が多く聞かれるはずです。
しかしながら、テレビや雑誌、インターネット上では、不十分のアフターケアによるインプラントの欠損等の報告は多く見られるものの、「インプラントの寿命が来た」という旨の報告を見ることがありません。
適切なアフターケアを継続する限り、インプラントは一生ものと考えても良いのではないでしょうか?
いちばん大切なことは、毎日のメンテナンスです。天然歯と違うことをする必要はありませんが、特に歯肉との境目や歯間にプラークがたまりますので、丁寧にブラッシングすることが重要です。もちろん、インプラントの部分だけではなく、天然歯の部分も丁寧にメンテナンスしてください。口腔内は細菌が繁殖しやすいですから、全体的にクリーンな環境にしておきましょう。
インプラント治療をおこなった歯科医院のアドバイスに従って、必ず定期メンテナンスを受診しましょう。定期メンテナンスでは、クリーニングや不具合の確認、セルフメンテナンスがしっかりとできているかについても確認してくれます。また、万が一インプラント周囲炎などがあれば、すぐに治療ができるので、インプラントの寿命を延ばす大きな要素なのです。
先にご説明したとおり、インプラントの寿命には口腔内だけでなく全身の健康が不可欠です。特に喫煙は、インプラント手術前にやめておかないと、インプラント体と顎骨の結合が得られない場合もあります。糖尿病などの持病がある場合には、数値の管理をしっかりとしておきましょう。
メンテナンス不足が原因であれ何であれ、インプラントに寿命が訪れた場合には、ふたたびインプラントを受けることで問題は解決します。
あるいは、インプラントではなくブリッジや入れ歯など、別の選択肢に変更することもできます。
いずれの場合でも、ふたたび治療費はかかりますが、寿命が来たからと言って手が打てなくなるわけではありません。その点は安心して良いでしょう。
もし、インプラント体が脱落してしまった場合には、再手術によってインプラントを入れ直す必要があります。手術内容は最初の手術とほぼ同じです。そして、再手術を受けるのであれば、なるべく同じ歯科医院がよいでしょう。
理由としては、最初の手術時に歯科用CTなどによって、その人のデータがありますし、手術によって口腔内の状態なども分かっているからです。検査などは再度必要ですが、基本的な情報は把握されていますので、治療もスムーズに受けられるでしょう。
しかし、脱落があった場合には、原因によって再手術の難易度が高くなる可能性もあります。例えば、インプラント周囲炎が原因の場合には、骨吸収(骨が減少してしまうこと)が進み、骨造成手術などが必要になります。
再手術の費用は、最初と同じかそれ以上になる可能性があります。しかし、インプラント治療では、ほとんどの場合保証期間を設けていて、5年から10年が一般的です。
この期間内であれば、無償で再手術を受けられることもあるでしょう。ただし、定期メンテナンスを受けていることや、喫煙しないことなどの条件が設定されていますので、よく確認してください。
インプラントと寿命に関して、より詳しく知りたい方は、以下の専門家のページを参照してください。